ブルー・ドーヴェルニュ

ブルー・ドーヴェルニュ(Bleu d'Auvergne)は、フランス中南部のオーヴェルニュ地方で作られる牛乳製の青カビチーズです。
AOP(原産地名称保護)認定を受けており、主な生産地はピュイ・ド・ドーム県とカンタル県を中心に、アヴェロン県・コレーズ県・オート・ロワール県・ロット県・ロゼール県にまで広がっています。フランスの牛乳製AOPチーズの中では生産量第1位を誇る、フランスを代表するブルーチーズのひとつです。
誕生の歴史は19世紀半ばに遡ります。ラカイユ村の農家で働いていたアントワーヌ・ルーセル(Antoine Roussel)が、ライ麦パンに生える青カビを牛乳に混ぜてチーズを作り、さらに針でチーズに細かい穴を開けて空気を送り込むことでカビを内部に均一に繁殖させるという画期的な手法を考案しました。この「ピキュール(piquûre:針刺し)」と呼ばれる技術により、青カビの入り方と風味が安定し、現在のブルー・ドーヴェルニュの基礎が確立されました。
1975年にAOC(原産地統制名称)、1996年にはAOP(欧州の原産地名称保護)の認定を取得し、150年以上にわたる伝統が国際的にも認められています。
オーヴェルニュ地方は火山性の豊かな土壌と四季がはっきりした気候を持つ高原地帯で、チーズの宝庫としても知られています。このチーズのほかにもサン・ネクテール、カンタル、フルム・ダンベール、サレールなど、フランスを代表するAOPチーズが同じ地域から生まれています。
ロックフォールとの違い
ブルー・ドーヴェルニュはしばしば「ロックフォールの牛乳版」とも称されます。もともとロックフォールをヒントに作られたとされており、青カビを使う製法の背景を共有していますが、両者には明確な違いがあります。
最も大きな違いは原料乳で、ロックフォールが羊乳を使うのに対し、ブルー・ドーヴェルニュは牛乳を使います。羊乳は脂肪分が高くより濃厚でシャープな風味を生む一方、牛乳から作られるブルー・ドーヴェルニュはよりまろやかでクリーミーな仕上がりになります。
また、ロックフォールが特定の洞窟(コンバルー山の天然岩窟)でのみ熟成できるのに対し、ブルー・ドーヴェルニュはオーヴェルニュ地方内の広いエリアで生産が認められています。
現在のブルー・ドーヴェルニュは殺菌乳を使って工場規模で製造されることが多く、これにより品質が安定し、万人に好まれる食べやすいブルーチーズとして親しまれるようになりました。価格もロックフォールと比べると手頃で、「庶民のブルーチーズ」とも呼ばれています。
ブルー・ドーヴェルニュの写真
フランスからの輸入品で「ブルー・ドーヴェルニュ」(Bleu d'Auvergne)の「La Cabane」(ラ・キャバン)という商品です。
2017年11月当時600円(税込648円)でした。
パッケージに表示されている赤色のマークは、欧州連合(EU)の「原産地名称保護」(AOP、APPELLATION D'ORIGINE PROTEGEE)です。
味と食べ方(ペアリング)
外皮は湿り気があり、オレンジがかった黄色で、綿毛状のカビがところどころに見られます。内部は艶のある湿った生地の中に、灰色や緑色の青カビが空洞を埋めるように広がっています。
生地はねっとりしてなめらかな口当たりで、崩れやすくほろほろとしています。口の中に入れるととろけるような濃厚なテクスチャーです。
味わいは濃厚な牛乳のコクを土台に、青カビの塩味とシャープなアロマが重なります。キノコや湿った土を思わせる独特の香りが特徴で、余韻が長く続きます。青カビ特有のピリッとした刺激は確かにありますが、ゴルゴンゾーラ・ピカンテなど刺激の強いブルーチーズと比べると比較的穏やかで、青カビチーズに慣れていない方でも食べやすいという評価が多いです。
そのままテーブルチーズとして食べるほか、料理への活用の幅も広く、ディップ・サラダのドレッシング・パスタソース・グラタン・キッシュなどに溶かして使うのも定番です。マッシュルームや卵料理との相性も特によく、チーズが料理のコクとアクセントとなって全体をまとめます。
ワインとのペアリングでは、フルボディの赤ワイン(バルベーラ、カベルネ・ソーヴィニョン、シラーなど)がチーズの力強さに負けずよく合います。
また意外に思えるかもしれませんが、ソーテルヌやポートワインなどの甘口・デザートワインとの組み合わせも絶品で、チーズの塩気と甘口ワインの甘みが絶妙なコントラストを生みます。特にソーテルヌの蜂蜜やアプリコットのようなニュアンスが青カビの風味を柔らかく包み込む組み合わせは、フランスでも定番のペアリングとして知られています。
購入店
- カルディコーヒーファーム ウィング高輪EAST店(2017年11月)



