ヴァランセ

ヴァランセ(Valençay)は、フランス中部のベリー地方、アンドル県で作られる山羊乳(無殺菌乳)のシェーブルチーズです。名前はこのチーズが誕生したヴァランセの町に由来します。
最も目を引く特徴は、上部が平らに切り取られた独特の「切頂ピラミッド形」です。この形には有名な逸話があります。エジプト遠征で大敗したナポレオンがヴァランセ城を訪問した際、地元のピラミッド形チーズを見て不快な記憶がよみがえり、剣の先でチーズの頭をひと切りして平らにしてしまった——という話です。真偽は定かではありませんが、ピラミッドの頂が落とされたような形はこのチーズの象徴として語り継がれています。
重さは200〜250g、高さ約7cm。表面はポプラの木炭の粉がまぶされており、青灰色〜黒っぽい色合いをしています。この炭の粉は雑菌の増殖を抑え、水分を均一に調整する機能的な役割を担っています。1998年にAOC認定を取得し、2003年には同じヴァランセ産の白ワインもAOCを取得。チーズとワインの両方でAOC認定を持つ地域として知られています。
旬は3〜12月で、4〜8月が最も美味しい時期とされます。同じベリー地方のシェーブルチーズには「セル・シュール・シェール」「クロタン・ド・シャヴィニョル」「プリニー・サン・ピエール」などがあり、この地方はフランス屈指のシェーブルチーズ産地です。
炭コーティングとピラミッド形——見た目の意味
ヴァランセの外見を特徴づける「黒い炭の粉」と「切頂ピラミッド形」には、それぞれ機能的・文化的な背景があります。
炭(木炭粉)のコーティングは同じロワール・ベリー地方のシェーブルチーズであるセル・シュール・シェールにも共通する伝統製法で、外皮の自然なカビの形成を助け、適度な乾燥と内部の水分保持を両立させます。若いうちは外皮が黒く、中の生地は白くきめ細かですが、熟成が進むと外皮に自然なカビが育ち青灰色に変化します。
カードを型に入れて成形後、炭の粉をまぶして湿度の高い通気性のある室で約3週間熟成させます。熟成が始まったころはカードが崩れやすいですが、徐々に中心部が柔らかくなっていきます。
ヴァランセの写真
2014年12月当時1個2,223円(税込2,401円)でした。
「フォレストヒッコリースモーク」と一緒に購入しました。
味と食べ方(ペアリング)
若いうちはレモンを思わせるフレッシュな酸みとクリーミーさが前面に出ます。熟成が進むにつれて酸みが落ち着き、ヘーゼルナッツのようなほっくりとしたコクと山羊乳らしい風味が深まります。外皮の炭の部分にはほんのりとした苦みがあり、中の生地とのコントラストが楽しめます。
バゲットやクラッカーにそのまま乗せて食べるのが基本で、はちみつ・クルミ・ドライいちじくとの組み合わせがよく合います。サラダのトッピングや、チーズボードに形のインパクトを加えたいときにも重宝します。
ワインは同じ産地のヴァランセ白ワイン(ソーヴィニョン・ブランとシャルドネのブレンド)との組み合わせが地元ならではの最高のペアリングです。サンセールやプイィ・フュメなどロワール系の辛口白ワイン全般との相性もよく、シェーブルチーズと白ワインという定番の組み合わせが楽しめます。
購入店
- チーズ王国 香林坊大和店(2014年12月)



